DNAの塩基配列データがゲノムプロジェクトの進展に伴い爆発的に増えたため、情報学的な手法を用いて生命現象の仕組みを理解しようとするバイオインフォマティクス研究が進展している。他方、ペプチド断片のアミノ酸配列解析技術も進歩し、これにゲノム解析の成果を組み合わせて関連遺伝子を検索するプロテオーム解析も可能となった。1990年代にはタンパク質のアミノ酸配列は精製して解析するより遺伝子の塩基配列から推定する方が早いという認識があったが、一概にそのようには言えなくなっている。
タンパクを扱っていた生化学については、一時 "衰退産業"のように言う者もあらわれ、「DNA解析さえすれば"全て"がわかるのだ」という風潮も一部にみられた。これに反して、タンパク質のアミノ酸配列(ポリペプチド)が判るだけでは不十分という声があがり、1990年代の大学の授業では公然と分子生物学を一方的に非難する不毛な議論が旧帝国大学を中心に盛んに繰り返された[要出典]。しかし、分子生物学的な手法による蛋白質の機能解析が多大な知見をもたらしたことは疑いようがない。 現在ではDNAのメチル化やアセチル化、タンパク質のユビキチン化やリン酸化、多糖類、脂質などによる修飾がその機能に寄与していることが明らかにされ、また、生体内でのタンパク質の性質や相互作用を理解する上で分子生物学的手法が重要であると認識されている。生化学者と分子生物学者の間で研究手法や知見の共有化が進み、両ジャンルの境界はあいまいになってきている。
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「構造のないモノクローンな細胞系」分野から始まった分子生物学的研究では「素材の分子がすべてわかった」としても生物を「理解した」ことにはならないとの批判もあった。中でも、発生や脳などの研究分野においては分子生物学による解明が遅れたために、その批判が特に激しかった。しかし現在では、脳のように細胞間連絡のようなマクロ構造や電気的情報処理が重要な研究対象の機能解明についても、分子生物学的なアプローチが不可欠である。神経解剖学、神経生理学、脳機能画像研究などで分子生物学的手法に基づく成果が多く出ており、分子レベルでの機能の解明を認めない古典的な考え方は失当である。